芥川賞を逃し、盗作等で騒がれた美しい顔を読んで感じたこと

退職日記

我が家でも芥川賞について、

色々と話すことがあったのですが、

実際に盗作と噂される例の作品について、

何も読まずに批判するのはどうかと思い、

読んでみることにしました。

 

読んだ感想

1、文章について

①人物について

主人公の心理描写が多いので、

話し言葉は多いですが、

漢字等の不統一性や同じ言葉を繰り返して

場を強調する癖があるなと思いました。

綿密に文章を書くというより、

作者の感情を文章に上乗せしていく

そういった印象を全体的に受けますね。

 

②背景について

審査員の人が絶賛をしている背景ですが、

確かに良く書けていると思います。

ただ、良く出来た舞台セットという

印象を受けました。

 

作者自身が読者に訴えたい内容があって、

それを訴えるのに丁度良い舞台が被災地だった。

別に舞台が被災地でなくてもこの物語は完成するし、

被災地である必然性を感じることは出来ませんでした。

だからこそ、盗作とされた部分について、

そこまで配慮出来なかったのかもしれないですね。

 

③人物について(主人公)

・被災者の主人公に対する違和感について

私の勝手な感想ですが、

作者自身は主人公のサナエに自分を

投影しているのではないかと思います。

被災地の描写が綿密に行われる中、

主人公は被災者というより、

震災の当事者であるような気がするのです。

 

そう思う理由として、

実際に私が働いていたときに

被災して、こっちに引っ越してきた人が、

普段は明るくて元気そうにしていても、

余震が起こった時にパニックになって、

目の前でヒステリーで倒れるところを

目の当たりにしているので、

とてもじゃないけれど、

主人公のようには振る舞えないだろうと考えました。

 

あと、私自身震災に対しては思うところがあり、

原発に近いところにある工場を稼働していれば、

国から億単位の補助金が出ていること、

線量も測っていない状態で原発から

20数キロの場所へ出張させられたり、

長期間の滞在を示唆されたことを理由に会社を辞めたから、

被災者ではないけれど、

あの震災の当事者ではあると思っています。

その時に絆とか思いやりとかを

煽っているマスコミを見た時に、

主人公と同じようなどす黒く歪んだ想いを

抱いたことは否めません。

ただ、被害者と決定的に違うのは、

実際に彼らはあの地震と津波を実際に経験して、

その恐怖を目の当たりにしていることで、

それを経験したばかりの状態で、

あんな風には振る舞えないだろうなと、

単純に思いました。

 

・マスコミ対する描写について

マスコミに対する心理描写や

主人公の周りの人間に対する描写は、

普段から様々な取材などで感じる醜悪な臭い、

それに対する自己の内面についての葛藤の描写が

詳細に書かれています。

その中に作者と思われる人物が見え隠れ…

いや、人が思いっきりいる感じがしました。

 

④人物について(周りの人間)

背景と一緒で、作者が伝えたいことを表現するために、

用意された舞台のセットの一部だと思いました。

主人公のサナエありきで、物語の流れを修正するために、

周りの人間がいる。

そういった印象を受けました。

 

⑤この作品を読んで感じたこと

典型的に良い子と言われる人がが陥りやすい、

周りに対する自分はこうあるべき、

そうしていれば評価されると信じながらも

そうした自分自身に対する

嫌悪感や抗いがたい押しつけ感、

それからの脱却が出来ない事の諦念と葛藤を感じました。

盗作とされる部分については、

作者にとっては『あくまで主張するのに必要な舞台』であり、

そういった意味では、

この作品であの震災を舞台にする必要があったのかが疑問で、

もっと違う舞台で自分が表現したいことを主張すれば、

若い人達からの支持が得られたのではないかと残念に思います。

少なくともこの作品からは、被災者の人達の臭いはしません。

本当に良く出来た舞台セットだとしか言えないです。

ただ、作者が主張したいことを

伝えるために必要なツールとして利用しただけというのが、

私の勝手な感想でした。

 

私として一番残念なのは、こと盗用という部分について、

この作品は一番やってはいけないことをしたと思います。

実際に取材された方や被災者の方々が色々な思いや葛藤を経て

作られた言葉を、

この作品はあくまで『道具』としか見ていない、

それは被災者の方々に対して、あまりにも無情で、

馬鹿にした行為ではないでしょうか。

選考した方々がこういった言葉に対しての扱いや想いを

どのように評価されたのかはわかりませんが、

仮にも言葉を昇華される方々がこのようなことを容認されたことに

深い疑問と虚しさを感じずにはいられないです。

退職日記
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