名古屋のデムライト爆発事故で思ったこと。

退職日記

名古屋市の工場で爆発事故があったようで、

ちょっと調べてみると、

石鹸(界面活性剤)の反応中の事故、

といった感じだったので、

少し過去の記憶を思い出していました。

 

デムライト自体の事故は、

まだ調査中のようですが、

過去に私も洗剤関係に関わったことがあるので、

他人事とは思えませんでした。

 

 

 

以下の内容については、

私が過去に経験した、

洗剤を作るときの危険な工程についてです。

興味があったらに見てみてくださいね。

 

ちなみに、

Googleマップでデムライト見てみたら、

危険物の貯蔵とか、

原料受け入れのラインが見えないので

今回の考察はあくまで私の経験といった

形になりそうですね。

 

界面活性剤の反応について

界面活性剤は、

親水基(水と相性が良い)

疎水機(油と相性が良い)

両方くっついた形の有機物で出来ています。

 

石鹸=アルカリ金属との反応だけではない


義務教育では、

油脂にナトリウムなどのアルカリ金属の反応で、

『けん化』といったものを習います。

 

この場合は、発熱はしますが、

大きな圧力変化などはないので、

爆発などはしないので、

今回の場合は異なるものではないかなと思いました。

 

 

EO、PO反応による場合


EO(酸化エチレン)、PO(酸化プロピレン)

をアルコールや油脂と反応させると、

界面活性剤(洗剤)になるのですが、

この場合は、

アルカリ金属を触媒として、

反応させていくのですが、

EOの方は反応性がよく、

発熱しながらEOを消費しながら反応するので、

圧力がその分下がるのですが、

 

POのほうはEOに比べて反応性が悪いので、

なかなか反応せず、

高圧力で反応させる場合もあります。

 

また、EOにしてもPOにしても、

芳香族系などで反応させる際に、

反応基に対して、

モル数分付加すると、

反応性がいきなり良くなるので、

それを考えずに、

反応しないからとその直前に、

EOやPOの流量を絞らずにいると、

冷却が間に合わなくなる場合があります。

 

そうなると、

反応で消費される分の圧力<<過熱による圧力

となり、とても危険なことになります。

 

今回の場合は、爆発ということなので、

どちらかというとここら辺が、

怪しいところかもしれないですね。

 

反応が暴走して、

制御しきれなくなった結果、

爆発したのではないかと考えられますね。

 

その場合でも、

反応していないガスをパージすれば良いのですが、

配管の出口が手動だった場合は、

制御室からそこまで連絡もしくは、

自分でいかなければならないので、

間に合わなければ爆発するかもしれないですね。

 

 

触媒の間違いなどについて


アルカリ金属を入れると

こういった場合の反応性は良くなりますが、

量を間違えると、反応性が変わります。

触媒の量を間違えて、

多かった場合は、

反応性が良くなるので、

一気に反応してしまい、

冷却が間に合わなくなる場合があります。

 

芳香族系などの反応で、

モル数分の負荷が終わり、

一気に反応した時に、

しまったと思って止めても、

異常に発熱するので、

この場合は、火災の危険もはらみますね。

 

逆に少ない場合は、

反応が遅くなるので、

なかなか反応せずに、

高圧力の状態が進みますが、

この場合は、単に反応が進まないので、

原料を投入できないといった形になります。

(中が高圧のため、差圧で原料を入れることができない)

 

 

他の要因について

そもそも、設備の劣化などはどうなんだ?

ということがありますが、

その線は薄いかなと考えています。

なぜなら、

  • 耐圧釜は1年に1回定期点検の義務
  • 窯が劣化していたら、圧力上り始めた時点で抜ける

ので、爆発するところまで、

圧力が高まるとは考えられないのです。

 

ちなみに、

加圧しているときに

窒素ガスを開けっ放しにして閉め忘れた。

ことも想像できますが、

窒素ガスとの差圧考えて、

耐圧釜が爆発するところまで

高い圧力の窒素が用意できていても、

それって配管が耐えられるのか?

レベルのものになるので、

この線も除外できそうです。

 

 

こういったことが起こりやすい時

通常、こういった反応をさせる際は、

企業ごとにノウハウがあるので、

原料の性状や反応性について把握していて、

  • 何度ぐらいで反応させるとよいのか
  • どのタイミングでEO、POの流量調整するのか

等に気を付けて行います。

 

人手不足などで、

そういったことを並行してやるのなら、

いざ知らず、

通常は、反応が暴走することはないのですが、

  • 試作品を量産にしたとき
  • 新しい容量の窯で反応させたとき
  • OEM製品を新たに作ったとき

については、

ノウハウが少ないため、

かなり注意して行う必要がありますね。

 

特に窯の容量によって、反応のさせ方も変わるので、

量産していても、

新造の窯ではうまくいかなかったり、

試作やOEM元では上手くいっても、

OEM先ではなかなか思うように

反応しない場合があります。

 

なにげに、こういったものって、

『納期が厳しい』場合も多く、

それゆえに無理して反応させたりしてしまうと、

こういった事故もあり得るかもしれないです。

 

 

結局こういう時はどうすればよいのか

とにかく反応を止めます。

具体的にはEO,POを入れるのを止めて、

冷却を全開にすることが重要です。

 

それでもだめなら、

最終手段でパージするしかないですが、

暴走しているなら、

温度が150℃超えしているので、

そんな高温高圧で、

さらに有害(EO,POはかなり有毒)な状態でパージとなると、

スクラバーを通さなければならないですが、

スクラバーも痛むし、判断に苦しむことになるでしょうね。

 

そもそも、スクラバー内部の水温が高温になるので、

二次被害も怖いです。

 

なので、

暴走の兆候が見られたら、

一度反応を止めて、

落ち着くまで待つのが大事ということになりますね。

 

 

 

最後に言いたいこと

今回は、原因調査中みたいですが、

死人が出なくてよかったと思います。

 

ただ、最近工場の事故が多くなっているため、

二つほど言いたいことがあります。

 

ハインリッヒの法則


こういった重大事故って、

ハインリッヒの法則で、

ヒヤリハットの積み重ねが原因だと思うので、

『いつもは大丈夫だから今日も大丈夫』ではなく、

しっかりと原因を確認して、

危機意識をもって頑張ってもらいたいですね。

 

人手不足について


最近は工場系の事故が多いですが、

設備の劣化もさることながら、

人手不足により、カバーが薄くなり、

個人の負担が増えていると思います。

 

人の定着をいかにさせるかがカギとなりますが、

どうしても厳しいならば、

業務のマニュアル化などの普遍化を行い、

キーマン(特別職)+一般職

みたいな形の業務体系にしていくのもよいかと思います。

 

なるべく、仕事ができる人の負担を減らして、

誰でもできる仕事などは、

外部から持ってくる形でもよいのではないでしょうか。

 

それも一つの成果主義の形だと私は考えています。

 

なんにせよ、最近工場系の大きな事故が多く、

昔工場勤めをしていた身としては、

心が痛むばかりです。

国内の技術を支えている昔からの工場が

こういう事故などで不安視されて、

後から来た住民などから

突き上げをもらうことがないよう、

しっかりと頑張ってもらいたいものですね。

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